水の中で【月刊ホン・サンス】
- 公開予定日
- 2026年03月21日(土)
- 作品情報
- 2023年/韓国/61分
- スタッフ
- 監督:ホン・サンス
- 出演
- シン・ソクホ/ハ・ソングク/キム・スンユン
- 公式サイト
- https://mimosafilms.com/gekkan-hongsangsoo/
introduction
ベルリン国際映画祭で物議を醸した“全編ピンボケ映画”
夏の終わりの済州島、自主映画を撮るために集まった男女3人組を描く青春ドラマ
ホン・サンス監督は、かつて「韓国のエリック・ロメール」と評されたように、長年小規模な製作体制をとり、男女がくりひろげる恋愛模様をユーモラスかつシニカルに描いてきた。しかし、2020年のヒット作『逃げた女』以降は、監督・脚本・製作・撮影・編集・音楽すべてを自ら手がけ、より小規模で実験的なスタイルへと進化している。『水の中で』は、そのフィルモグラフィの中でも、とりわけ特異な一本だ。第73回ベルリン国際映画祭では、上映前に「これからかかる映画は決して映写ミスではない」と事前アナウンスが入るほど、“全編ピンボケ”の映像表現が大きな話題に。出演者たちの顔の判別が難しいほど焦点の甘い映像が延々と続き、観客を大いに驚かせた。今回の日本で上映における映倫審査でも、「これは素材の不備ではなく、意図された映像なのか」と審査員を悩ませたという。
『関心領域』『私たちが光と想うすべて』を抑えて
カイエ・デュ・シネマ誌「2024年の映画ベスト10」第3位
ホン・サンス監督の新境地を示す一本
しかし、「印象派の絵画のよう」「その完成度はルーヴルに飾られる名画にも匹敵する」という評が示すように、輪郭を失い、いくつもの色が溶け合う済州島の風景は、実験的な手法と作品世界が見事に響き合い、これまでにない不思議な美しさを生み出している。本作はこの独創的な試みが高く評価され、カイエ・デュ・シネマ誌編集部の「2024年の映画ベスト10」にて『関心領域』『私たちが光と想うすべて』を抑えて第3位に選出されるなど、ホン・サンスの新境地を示す一本として称賛を集めた。また、特殊な手法に注目が集まりがちだが、映画づくりを志す青年たちの友情を描いた、瑞々しい青春映画としての魅力も備えている。
story
大学卒業後、俳優業に専念していた青年ソンモは、自主制作で短編映画を監督しようと決意する。かつての同級生ふたりを連れ、リゾート地として知られる済州島へ向かうが、思うようにシナリオは書けず、煩悶しながら海辺を散策していた。そんな折、ひとりの女性との出会いをきっかけに、語るべき物語を見出す。やがて、海辺での撮影が静かに始まる──。