夜の外側 イタリアが震撼した55日間【前編(Ⅰ~Ⅲ)】

作品情報
2022年/イタリア/前編170分・後編170分
スタッフ
監督:マルコ・ベロッキオ
出演
ファブリツィオ・ジフーニ/マルゲリータ・ブイ/トニ・セルヴィッロ
公式サイト
https://www.zaziefilms.com/yorusoto/
前編と後編は別料金です。
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Introduction

1978 年 3 月のある朝、キリスト教民主党党首で、元首相のアルド・モーロが、極左武装グループ「赤い旅団」に誘拐される、という、イタリアのみならず、全世界を揺るがす事件が起こる。内務大臣コッ シーガや教皇パウロ 6 世、そしてモーロの妻エレオノーラらが、モーロを解放させようと画策するのだが…。 『夜よ、こんにちは』(03)で同事件を「赤い旅団」側から描いたイタリアの巨匠マルコ・ベロッキオ 監督が、「すでに語られた物語には戻らない」という自身のルールを破り、外側<政府、法王、神父、 警察、教授、妻、子供たち…様々な立場で事件に関与した人々>の視点を交えて、6 エピソードからな る一大巨編として作り上げたのが本作である。 史実とフィクションを交えたその力強くも絢爛たる筆致で描かれるドラマは 340 分という長さを全く感 じさせず、大きなカタルシスを観る者に与えるに違いない。

 

Story

【Ⅰ】
1978 年、イタリア。戦後長らく政権を握っているキリスト教民主党の党首アルド・モーロは、共産党 との連立政権を実現させるべく奔走していた。しかし、これは冷戦下で西側と共産主義が手を取ること を意味していたために、国内外問わず、激しい反発を受ける。無論、党内のモーロと対立する右派系の 派閥からの批判も非常に強く、モーロと旧知の仲であるバチカンの教皇パウロ 6 世にも苦言を呈される。 それでもモーロは交渉を続け、連立政権の話はまとまった。そんな最中の 3 月 16 日、アンドレオッテ ィ内閣の信任投票のため、議事堂に車で向かうモーロは、道中で、極左テロ組織「赤い旅団」に襲撃さ れ、そのまま誘拐されてしまうのだった。

【Ⅱ】

モーロ襲撃・誘拐が判明してすぐに、議会では緊急会議が開かれる。指揮を執るのは、内務大臣フラン チェスコ・コッシーガ。彼はモーロを父と慕い、モーロ救出に全力を捧げることを決意、辞表まで準備 する。ほどなくして、赤い旅団からモーロの写真とともに犯行声明が届く。すぐさま、ローマに巨大な 包囲網が張られ、徹底捜索が敢行。コッシーガの号令と共に、省内に大規模な通話傍受センターが開設 され、日夜、イタリア中の通話が監視されることに。しかし大きな手掛かりは掴めず、コッシーガも精 神的に参り、疲弊していく。そして誘拐から 14 日目の 3 月 29 日、旅団に囚われているモーロから手紙 が届くのだった。それは事実上の裏取引を持ち掛ける内容だった…。

【Ⅲ】
バチカンの教皇パウロ 6 世も、モーロ誘拐に衝撃を受け、救出の策を練っていた。信者に向かって、ア ルド・モーロのために祈ろうと強く呼びかけ、モーロ解放のために身代金として 200 億リラを用意する。 「アルドは大事な友である」と、司祭を通してアンドレオッティ首相に掛け合うが、首相から話を聞い た将軍たちは「血が流れる」と口々に大反対。一方で各党の党首たちは、概ね、賛成を表明。政府内の 足並みは揃わず、また肝心の身代金を渡そうとしていた相手が、どうやら詐欺師であることが判明する。 パウロ 6 世のモーロ救出構想は振り出しに戻り、教皇は、赤い旅団のメンバーに直接語りかけることに する。

【Ⅳ】

赤い旅団のメンバーであるアドリアーナ・ファランダは、プロレタリア革命は成功すると強く信じ、愛 する娘と離れ、運動に身を投じている。1977 年に起きた大学の経済学部長襲撃事件にも実行犯として 関与し、誘拐前のモーロを尾行するなど積極的に活動していたが、モーロ誘拐の肝となる活動には参加 させてもらえないことに不安も覚えていた。一方で赤い旅団は、誘拐に成功したことで入団を希望する 人間が増え、活動は順調にいっているかのように見えた。しかし、メンバー間で、モーロの処遇をどう するかで意見が激しく紛糾していく。アドリアーナもモーロ処刑をやめさせようとする。

【Ⅴ】

モーロ誘拐の事件現場に急行した、妻エレオノーラ・モーロを待っていたのは、銃弾が多数撃ち込まれ た見るも無残な夫の乗っていた車と、護衛の倒れた姿、そしておびただしい数のマスコミだった。家に 訪れる議員たちは、彼女にもっともらしく慰めの言葉を掛けていき、形ばかりの抱擁を求めてくる。子 供たちと共に家に籠り続けていたある日、モーロからの手紙が届く。しかし、ザッカニーニをはじめ、 政府は赤い旅団との交渉に応じず、エレオノーラは憤慨する。4 月 30 日、赤い旅団から電話がかかり、 すぐさま大統領に連絡をとるが、またも真剣に取り合ってもらえず、失望し涙するエレオノーラ。そし て、あるシスターからモーロを見たという証言を聞き、藁にも縋る思いで現場に向かうのだが…。

【Ⅵ】
5 月 8 日、目隠しをされた神父が、赤い旅団のアジトとなっている暗いビルの中へと入っていく。さら に隠し部屋に入っていくと、そこにはアルド・モーロの姿があった。約 55 日ぶりに赤い旅団以外の人 間と会ったモーロは、「ここで初めて人の顔を見ます」と神父に語りかけ、強く手を握り、告解を始め るのだった。そして翌 5 月 9 日、モーロは目隠しをされ車のトランクに乗せられる。コッシーガのもと には、カエターニ通りで不審な車両が発見された、と緊急無線が入る。

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後編(Ⅳ~Ⅵ)の上映時間はこちらから


上映スケジュール

10/22(火)〜10/25(金)
12:20(~15:17)

【上映最終日】
10/25(金)