生きて、生きて、生きろ。

福島県を舞台に、喪失と絶望に打ちのめされながらも日々を生きようとする人々と、彼らを支える医療従事者たちの姿をとらえたドキュメンタリー。

東日本大震災と福島第一原発事故から13年が経った福島県では、時間を経てから発症する遅発性PTSDなど、こころの病が多発しており、若者の自殺率や児童虐待も増加した。相馬市にある「メンタルクリニックなごみ」の院長・蟻塚亮二医師は連日多くの患者を診察し、その声に耳を傾ける。同院と連携するNPO「こころのケアセンター」の米倉一磨さんも、こころの不調を訴える地域住民の自宅訪問を重ねていた。患者や利用者の置かれた状況には、震災と原発事故の影響が色濃くにじむ。蟻塚医師は行方不明の夫が枕元に現れたと言う女性に対し、「生きていていいんだ、という希望を持った時に人は泣ける」と話す。一方、米倉さんは息子を失った男性に、ジンギスカンを一緒に焼くことを提案。やがてそれぞれに、小さな変化が訪れる。

監督は「ちょっと北朝鮮まで行ってくるけん。」の島田陽磨。