太宰治を泣かせた浪曲映画 と 生の浪曲口演

愛と優しさを描いた映画と浪曲を、両方味わう

映画 ミーツ 浪曲〜情に生きる〜

1/16(土) 1日限りの開催!

10:30 映画「新佐渡情話」上映+浪曲「金魚夢幻」(入場料2500円)

14:30 映画「忠臣蔵 暁の陣太鼓」+浪曲「赤穂義士伝 俵星玄蕃」(入場料2500円)

17:30 映画世紀は笑う」+トークショー(入場料1500円)

 

浪曲口演:玉川奈々福

神奈川県横浜市出身。1995年、2代目玉川福太郎に曲師(浪曲三味線)として入門。2001年より浪曲師としても活動。2006年、奈々福で名披露目。2005年には、石垣島を舞台にしたドキュメンタリー映画「ナミイと唄えば」に出演している。

 

曲師:沢村豊子

福岡県大牟田市出身。御歳83歳の浪曲回の至宝。11歳で浪曲回入りし、17歳で故・国友忠の相三味線となり、主に放送浪曲で活躍。三波春夫、村田英雄、二葉百合子などの曲師も務めた経験を持つ。

 

—————-余談——————-

聞こえてくるのは、言葉と三味線の音だけなのに、目の前には別世界が広がり、知らない誰かが、知ってるお千代さんや太郎さんや次郎さんになり、生き生きと動き回り、そして心の奥の深い深いところまで入ってきて、

「あの人が困ってから助けなきゃ」

「あの人に助けられたから恩返ししなきゃ」

「ここで私が好きだと言ったら、あの人に迷惑がかかる」

「僕があの子を諦めたなら、あの子は夢に向かって生きられる」

そんな、自分のことはさて置いた人たちが、「情」というものをたっぷりと心に置き土産にしていく。

だから浪曲を聞くと幸せな気持ちになるし、誰かに優しくしたくなる。昔の日本では、そんな優しい浪曲の物語をベースにした映画がたくさん作られていたそうで、今回上映する『新佐渡情話』なんかは、これを見た太宰治がひどく泣いて、翌朝思い出してむせび泣いたのだとか。

 

太宰治 弱者の糧 ↓↓

https://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/42367_15878.html

 

社会人になって、荒波に揉まれていると、たまには優しい誰かに包まれて、大丈夫だよ、泣いていいんだよ、君は頑張ってるよと言われたい日があるに決まってる。でもそんな都合よく誰かが包んでくれるわけもなく、だから私たちは映画を見たり、浪曲を聞いたりするべきなんだと思うのです。

今をときめく玉川奈々福さんに沖縄までお越しいただけるなんて、生のお声を聴けるなんて、この世の誉れ。奈々福さんには一度、真冬の江戸時代に連れてっていただきました。真夏だったのに、指先までしんしんと冷えたようで、、、でも確か、ちょうど時間となって、それでもなぜか、全然よかったことを覚えています。

あと、特に「世紀は笑ふ」が今回の絶対必見映画でして、これが一番今度いつ見られるか本当にわからない作品です。個人的にはあと100万回くらい見たいのに、それが叶わないくらい貴重なフィルムです。監督のマキノ雅弘さん(当時マキノ正博)は、沖縄アクターズスクールを作ったマキノ正幸さんのお父様ですね。天才お父様の手腕冴え渡る映画でして、すっごく笑ったと思ったら大号泣していて、でも心は晴れ晴れとしていて、広沢虎造さんの浪曲はお声もお顔も節回しも子宮まで届いちゃうし、でも虎造さんは主人公じゃなくて、無名だった虎造さんの大成を心から願う親友が、自らを犠牲にしながらも決して卑屈にならず、たくましく明るく生きている姿がグッとくる映画でした。(shimo)